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January 09, 2007

音のブレンダーたち

私の周囲には,とても耳のいい人がいて驚かされます.使っているパーツの音とか回路方式の音などを聴きわけてしまうのです.まるでオーディオ・チャングムです.チャングムですと,この魚の煮付けは柿の味がします.しかしそれがなかなかわからないのは,魚の味を殺さないように控えめにしているからです.そのために柿と魚の間を取持つために干しアワビをゆっくりぬるま湯で戻して使っています.でもアワビの味はあくまで繋ぎですから筍の煮汁でなんたらかんたらして,ああだこうだでどうしたものと思われます.おおさすがチャングム.よくぞ.という風になるわけです.これがオーディオですと,この音は,アンプに東一の銅箔フイルム・コンデンサをカプリングに使っていますね.銅の音がする.とてもキレイな音に仕上がるのだけど今一番に音に強さがほしかったと見えて,ウエスタンの単線を配線に使って音に芯を出しているね.なるほど,でも音がつまり気味になるからこれはスピーカーの低音のほうのケーブルをアクロの6Nの太めに換えてみたほうがいいね.なーんてことを平気で言うわけです.そしてその通りにすると概ねそんな風になっていくという達人の方々です.本当にいます.ブランデーとかウイスキーのブレンダーみたいな人のオーディオ・バージョンです.この手のプロになるとかなり自由に音を作ってしまいます.ショーなどの前には,凄まじい迫力で徹夜で音をブレンディングして作ります.私たちが聴いている音は,そうして作られた音なんですね.私たち素人は勝手にこの音はいい音だとか,響きが,伸びがヘチマだトマトだと評価しますが,こは実は,一人ひとり音の聴いている場所というかポイントが違うんです.そしてさらに各自の好みというものが付加されて,自分が聴いて気持ちがいいものを”いい音だ”と言っているんです.プロの人たちはいろいろな音を聴いていて,いろいろな人の好みと聴いているポイントの違いとか好みのパターンを何通りも知っています.そして部屋と機材と聴く人の好みを察知し,最適な相性のソースを選びそれが心地よいようにチューニングしてしまいます.その意味で自分の好みの音しか受け入れずにそれで音のよしあしを判断するのは,超マニアであってもプロではないのです.マニアは王様ですからこの好みに合わせて自在に音を操るのがプロです.私は素人道楽ですが,このようなプロの人たちとお付き合いすることがあり,その人が自分用に調整したプライベートな装置の音を聴くことがありますが,それらは仕事で作っている音とは全く違ったもので,とても面白いものです.仮にミスターリズム氏とよびましょうか.この人の聴いているいところはプレゼンスとリズムが主体です.周波数特性とかは論外で,少々歪が多くともプレゼンスが確保されていればOKです.情感的な音のグラディーションとかディティールという指針はあまりつかわずに,それを情報量といい形で再構築して判断しています.私の聴き方とかなり異なるのでとても面白く,評価のメジャメントがまったく違いますが,最終的にいいとか悪いとかの判断では一致するところが多いというのがおもしろいところです.またミスターモーツアルト氏といいかたもいらっしゃいましてこの方のリズム氏とは対極で,情景とバランス,表現描写を聴いていらっしゃいます.まったく違うモノサシですが,これもまたよしあしの判断では一致することが多いのでとても面白いと思います.

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