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May 19, 2007

低音のマルチチャンネル

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ウエスタンのコンプレッション・ドライバーは,過渡特性,能率,あらゆる点で素晴らしいものがあります.その能力をフルに発揮させるために,励磁電源は200V系ACを使い,さらにタンガーバルブや重量チョーク,定電流回路などを投入して,さらのホーンのマッチングで止めを刺します.抵抗成分によるアッテネーションなどは論外です.このように追い込んでいくと,ウーファーがまったく追いつかなくなります.どんどん離されていきます.必死でウーファーにも超軽量のコーン紙を使用した,励磁型を使用し,そのための特殊な励磁電源を作り,ネットワークのコイルも超低抵抗のものを特注もします.それでも追いつきません.もうネットワークのインダクタを液体ヘリウムに入れるしかありません.この高周波をカットするLPFのL成分と直流抵抗はいかんともしがたいものがあります.そこで,遂にマルチチャンネル・アンプ化にしました.アンプとアンプの間にチャンネルディバイダを入れるのと,アンプとスピーカーの間にインダクタを入れるのでは,低音に関しては,あきらかにチャンネル・ディバイダを入れたほうが有利です.中高音に関しては,よほどいいチャンネル.ディバイダとアンプを使わないと,いいネットワーク用のコンデンサには敵いません.今回は,低音のみチャンネル・ディバイダを通して別のアンプで駆動しました.中高音のWE594Aコンプレッション・ドライバーは,コンデンサーで,660Hz 6dB/oct でクロスさせ,低音のほうは,RCA MI-1444(デュアル・ウーファー)をDSPで660HZ 24db/oct でクロスさせ30Hz付近 と 80Hz付近 など周波数特性を実測したときにへこんでいたところをブーストしてやりました.使用したDSPは,テクニクスのSH-D1000です.このDSPのDAC部分は,このシステムの回りの使用機材に比べるとお粗末なものですが,十分な効果がありました.スピーカーとアンプの間にケーブル以外のものを入れてはいけないということがよくわかります.ここで低音を駆動するアンプですが,FETによる無帰還差動でDCサーボが軽くかかっているものです.蝦名氏による設計でこれを手作りアンプの会の皆さんと一緒に製作しました.なかなか良い設計です.ネットワークから開放されたスピーカー(ウーファー)は素晴らしいものです.次は電流駆動アンプになるでしょうね.

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May 01, 2007

フィールド(励磁)型スピーカー

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励磁型のスピーカーをたくさん使用していますが,フィールド電源によって全く音も性能も大きく変わります.永久磁石でもアルニコだフェライトだ,ネオジウムだサマリウム・コバルトだとか,磁石の種類で大きく音が変わるわけですから,磁気回路の特性で音が縦横無尽に変化するのは,ごく当たり前のことでしょう.励磁型のスピーカーが製造された時代は1950年ころまでで,それ以降は強い磁力の永久磁石が安く作れるようになったので,電磁石を使う励磁型スピーカーは姿を消しました.ところがいろいろ調べて研究してみると,この電磁石方式のスピーカーというのは,かなり高性能で音質的にも素晴らしいものがあることが分かってきました.この励磁型磁気回路を駆動する電源しだいで,とてつもない性能を引き出せる可能性があるようです.極論すると励磁型スピーカーの性能は,コーン紙やダンパーやボイスコイルやエッジやフレームも当然重要ですが,フィールドでかなりの部分が決まってくるということです.コーン紙は当然最重要ですがその次くらいになるかも知れません.100回路近くの励磁電源回路を設計し試行しデータを記録してあるのですが,その結果は驚くばかりです.これらのスピーカーが設計された時代の励磁電源は,当時の励磁型のスピーカーの性能を十分に出し切っていない可能性があります.というのは,今から60年以上前には技術上部品の性能には限界があり,またその部品自体の製造が不可能だったり,半導体に至っては,存在していないわけです.今回現在の最新の技術を使って当時は作ることが不可能だった高性能な部品を投入した励磁電源を設計してみました.当然ながら現代では入手不能で,昔の部品のほうが良いものは徹底して昔の部品を使用してあります.完成した電源でドイツ製の1940年代のザクセンウエルケのフィールドスピーカーを鳴らしてみましたが,驚愕するような音がします.恐らくは当時はこんな音は出せなかったと思います.このような技術も部品もなかった訳ですから無理もないわけです.もともとこのザクセンウエルケの評価は,ダメという人と凄いという人にまっぷたつに分かれるようですが,これはフィールド電源次第だから仕方がないでしょう.どのくらいシビアかといいますと,このスピーカーは,フィールド電流が75mAが定格ですが,70mAから75mAの間では,1mA単位でどんどんと音が変わっていきます.2mAも違うと別のスピーカーです.トーンコントロールみたいなものです.電流値でさえこうですから,発生する逆起電力を制御する方法とそのレンジと安定度でもっとべらぼうに音が変わります.写真は今回設計した重量が16キロに及ぶ全半導体式の測定器並みの高精度な定電流電源ですが,これで高精度に制御すると励磁スピーカーは凄まじい能力を出します.はっきり言ってスピーカー自体より電源のほうがはるかに高価ですが,そのとおりの効果(Y^.^Y)があります.ビンテージでもここまでやらんだろうというくらいにチョークコイルが9発乗っています.100V位あれば足りる電圧に対して600Vスイング可能な電圧源を使っています.FETを高耐圧のものに変更すると1,200Vまでスイング能力を上げることができます.中途半端な試行で,あれはよいとか悪いとかラベル貼りをするのは容易ですが,理詰めで追い込んでデータを記録しながら試行していくと,ほとんどのところは物理法則と一致するので安心しますね.そこから先は藝術の世界ですから,個人の嗜好の自由におまかせすることにしましょう.

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